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異端でグロテスクでロマンチックな短編小説集。「ZOO」

私が始めて乙一氏の作品で手に取ったものがこの「ZOO」です。

鬼才と言われる乙一氏を一冊で存分に堪能し理解出来る作品だと思います。

映画化もされています。

計10話の短編小説集なのですが、お得意のサイコホラーはもちろんロマンチックだったり切なかったり、はたまたクスッと笑えるコメディだったりコロコロとテンションが変わるので読んでいて飽きません。

その中でも私が好きなのは「神の言葉」というお話です。

主人公のぼくは生物に対して心を込めて言葉を放つとその通りになってしまう、という特殊な能力を持っています。そして、その力は一度行使してしまうと元には戻りません。

小さな嫉妬から始まったその能力は次第にどんどん大規模になり、家族を殺し、最終的に主人公は「自分以外の人間が全員死ぬ」ように言葉を使い、結果主人公以外の人間は居なくなり世界には自分一人しか居なくなってしまいます。

しかし主人公は自分に暗示をかけ、「自分は今まで通りの世界で生活をしている」という錯覚に陥ったまま死体だらけの腐った世界でただ一人だけ生きていくのです。

この話を読み終えた時、絶望感で胸がいっぱいになりました。

そして、そんな話を考える乙一氏はやはり鬼才だと感じました。

他にもいろんな話がありますが、一貫して乙一ワールドを感じられる作品で、暗い話やホラーが好きな方にオススメです。

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