本棚

アリフ・フォルネ『本を読む人』を読んで

おそらくパリ郊外の放っていられている私有地に、大家族のジプシーが無断で住んでいる。

家長のばあさんは伝統的なジプシー以外の暮らしを知らず、年中焚火の前に座り、気が向けば話す。

ばあさんの息子が5人いて、彼ら特有のジプシーの誇りを持って働かず、酔っ払い、泥棒をし、気が向いたときに妻などとセックスをする。

息子のうち4人は妻をめとっており、8人の孫がいる。ひとりの妻は気が狂った旦那に殴られ、髪をつかまれ、また殴られる。

全員が字を読めない。底辺の暮らしを底辺とわかる程の教育は受けていない。

前後して、ひとりの図書館員が不法居住者の元を訪れ、子どもたちに本を読み聞かせる。物語に飢えていた子どもたちはその女性に慕っていくようになる。妻たちは学んでいるように見える。男たちは困惑しているように見える。

ひとりの少女が学校に通うようになる、ひとりの妻が家をでる、三人が新たに子を得、家族はいつも通り、土地を追われる。

図書館員はおそらく自分が何をしたいのか、わかっていない。少しでも家族に人間的な生活をさせようと奮闘する。

フィクションでありながら、現実を見ているようであり、手ごたえがはっきりとしない現在の女性たちのマジック・リアリズム。

非常にひそやかだけれど、生きがいに関して重要なひとつの奇跡が描かれています。清澄な気分になれるかもしれません。

コメントは受け付けていません。