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十二国記 月の影 影の海

この作品は、単なるファンタジーという言葉では言い表せないぐらい、とてもキャラクターの心理が描写されてい、気が付くと夢中になっていました。

主人公の陽子は、突如異世界へと送られ、訳も分からないまま剣を振るうはめになります。

高校生の陽子にとって、異世界へと送られた事もショックだったと思いますが、そこで出会う数々の醜い感情や幻影が彼女の心を壊してしまいます。

出会う人は全て自分を利用しようとしていると、誰も信じられないと思う陽子の姿は、とても儚く感じました。

そして、陽子は純粋な心の持ち主である楽俊と出会います。私は、この楽俊というキャラクターがとても好きでした。

半獣と呼ばれ、普段はネズミの姿をしている彼は、度重なる差別にも負けませんでした。相手を恨むとかでもなく、憎む訳でもなく、ただ淡々と自分の運命を受け入れる楽俊がとても素敵でした。どうしたら、あんな風に生きれるのかと思いました。

でも、陽子は楽俊を一度見捨ててしまうのです。それは、憲兵に見つかるのではないかという恐怖があったからなのですが、陽子はそんな自分を恥じます。そして、楽俊はそれでも陽子を待っていてくれました。

人を信じる事が難しいという時代において、楽俊のようになれたらどんなに良いのかと思いました。決して、贅沢は望まず、自らの幸せよりも他者の笑顔を選び、自らの境遇を決して嘆かない楽俊の生き方は、今までの自分を変えるきっかけにもなりました。

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